色素増感型太陽電池用の高品質の増感色素の製造
专利摘要:
本発明は、色素増感型太陽電池に従来使用される大規模な増感色素に適用可能な製造方法に関する。また、複数の増感色素を検定する方法も開示する。A 公开号:JP2011505651A 申请号:JP2010533464 申请日:2008-11-04 公开日:2011-02-24 发明作者:オーバーマイヤー,マルクス;ネレス,ガブリエレ;ズライ,アメネ バメディ;フールマン,ゲルダ;ロッセッリ,シルヴィア 申请人:ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング;ソニー株式会社; IPC主号:H01M14-00
专利说明:
[0001] 本発明は、色素増感型太陽電池に従来使用される大規模な増感色素に適用可能な製造方法に関する。また、複数の増感色素を検定する方法も開示する。] 背景技術 [0002] 最初の発表から非常に注目される光電池の1種として、いわゆる色素増感型太陽電池(DSSC:dye-sensitized solar cells)がある1。生成コストが低く、効率が高いため、かかる光起電装置について、市場の関心および産業化が着々と大きくなっている。] [0003] DSSCは、シリコンよりも要件が厳しくないナノ結晶TiO2などの半導体材料を使用するため、高いエネルギー変換効率を低コストで提供する。ナノ結晶TiO2は太陽光の光子エネルギーをほとんど吸収しないため、分子色素を増感材として使用する。色素の構造は、半導体固体に対する吸収または強い結合を可能とする1または2以上の定着基(anchor group)を含んでいる。] [0004] 作用電極は導電支持体に設置されたナノ多孔質TiO2であり、対電極は、一般に導電支持層にまたスパッタ形成された白金である。DSSCの動作原理は以下のとおりである。光子が電池に入り込み、色素分子に吸収されるまで電池を横断する。すると色素は励起状態へと励起され、エネルギー的に、主にナノ多孔質TiO2である半導体の伝導帯に電子を注入できるようになる。電子は、エネルギーを利用できるように負荷(抵抗)を通過して、外部回路へ流入する。その後、エネルギーが小さくなった電子は、対電極を介して電池に入る。半導体の表面に残った酸化色素は、一般的にはヨウ素/ヨウ素対とするレドックス対によって元の状態へ還元され、回路は完了する。] [0005] DSSCの効率は、採取した光子の数によって、その他とは無関係に定まるものであり、つまりは色素増感剤が吸収した光によって定まるものである。したがって、色素は、この種の太陽電池の重要な要素の1つである。いわゆる赤色色素および黒色色素であるルテニウムのポリピリジル錯体が、最も効率的な増感剤であると見られてきた。赤色色素の化学名はシス‐ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’‐ビピリジル‐4,4’‐ジカルボキシラト)‐ルチニウム(II)である。これは、ビス‐テトラブチルアンモニウム塩の形態で利用すると最良の性能を示す。商標名はルテニウム620またはN749(オーストラリアのDyesol、スイスのSolaronix SA、日本のKojima kagaki)である。] [0006] 増感色素は市販されている。しかしながら、製造元(会社)によって色素の純度や品質は様々であり、さらに同一の製造元(会社)でもバッチによって色素の純度や品質はさまざまである。したがって、増感剤の品質は太陽電池の効率に直接影響するため、さらに精製する工程が必要である。これはコストが高く、非常に時間のかかるものである。] [0007] ナズィールッディーン(Nazeeruddin)らは、DSSCにおける増感剤の活性型である赤色色素およびそのビス‐テトラブチルアンモニウム塩の製造方法を記述している2。しかしながら、この方法だと、大規模な生成において多くの問題がある。典型的な手順は、複数の合成工程を含んでいる(図5参照)ため、極端に時間のかかるものである。赤色色素の製造は2つの合成工程を含むものであり、そのビス‐テトラブチルアンモニウム塩を製造するにはさらに2つの工程が必要である。これらの合成作業の他にも、中間体や生成物の沈殿工程、遠心分離または濾過工程、溶解工程など数多くの精製工程が必要となる。また、十分な純度の増感色素を得るには、最終精製工程として、SephadexLH-20カラムのクロマトグラフィーを用いる。この方法は、分解能が低いという特徴があり、多少の不純物や特に赤色色素の異性体については完全に取り除くことができない。また、この精製方法の中ではメタノールを溶離材として用いるため、メタノールに対する色素の溶解度が低いことによって、この処理の規模拡大や自動化が制限されてしまう。最後になってしまったが、Sephadex LH-20材料が非常に高価であるため、この方法はコスト面で効率的ではないということも重要である。] [0008] WO02/092569A1において、カルボン酸性基を含有する有機配位子および色素材料を大規模に精製する方法が記述されている(以下の参考文献3を参照)。原理的には、この合成は、ナズィールッディーン(参考文献2)が記述する多工程方法と同様である。相違点および改善点は、溶解‐再沈殿による精製処理である。カルボン酸性基を含有する未処理材料の基本条件下の溶解は、ミクロン粒子大やサブミクロン粒子大のSiO2やTiO2などの無機酸化物の存在の下で行うものである。この結果、材料は無機酸化物表面へ吸収される。材料が付着した金属酸化物を濾過によって分離した後、材料は表面から溶解し、酸を加えることによって再沈殿する。しかしながら、この方法で副生成物や不純物をより効率的に取り除いたとしても、高純度の色素は得られない。例えば赤色色素の異性体、反応しない配位子のような、カルボン酸性基も含有し得る不純物は、この方法では取り除かれないであろう。さらに精製する工程を行う必要があろう。] [0009] 国際公開第91/16719(A)号パンフレット(1. b)Gratzel(グラッツェル)ら WO 91/16719A) 国際公開第94/04497号パンフレット(1. b)Gratzel(グラッツェル)ら WO 94/04497) 国際公開第02/092569(A1)号パンフレット(3. Koplick A.(コプリック・A.), Berloz M.(ベルロー・M.) WO 02/092569A1)] 先行技術 [0010] 1.a) O’Regan B.(オリーガン・B.)ならびにGratzel M.(グレッツェル・M.),Nature 353 (1991) 737 2.a)Nazeeruddin M.K.(ナズィールッディーン・M.K.)ら,J. Am. Chem. Soc.,115 (1993) 6382-6290 2.b)Nazeeruddin M.K.(ナズィールッディーン・M.K.)ら,Inorg. Chem. Soc.,28 (1999) 6298-6305] 発明が解決しようとする課題 [0011] したがって、本発明の課題は、DSSC用の高純度かつ高品質の増感色素を製造するための、信頼性があり、コスト面で効率的で高速である方法を提供することである。また、製造ラインにおけるDSSCの処理を、信頼性があり、効率が高いものとするためには、この方法は自動化すべきである。] 課題を解決するための手段 [0012] 本発明の課題は、色素増感型太陽電池(DSSC)用の色素を精製する方法であって、 (i)色素増感型太陽電池における増感剤として有用な色素を提供する工程と、 (ii)NR4−OHを加えることによって、上記色素を上記色素の可溶型に、好ましくは上記色素の水溶型に転換させる工程であって、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12−アルキルであり、より好ましくはブチルである工程と (iii)逆相クロマトグラフィーによって、好ましくはHPLCを用いて、上記色素の可溶型を精製する工程と、 (iv)酸沈殿によって上記色素を単離する工程と、 (v)工程(iv)から得られる上記色素を溶媒に溶かして色素溶液を提供し、上記色素溶液のpHを4〜10の範囲内の値に調整する工程と を含む方法によって解決される。] [0013] ある実施形態では、上記色素は、プロトンを解放することが可能な、または脱プロトン型A−においてはプロトンを受け入れることが可能な酸性基HAを分子毎に「a」個有し、工程(ii)において「a」と等モル量のNR4−OHを加えて、上記色素を可溶型に、好ましくは水溶型に転換させる。] [0014] ある実施形態では、色素増感型太陽電池(DSSC)の製造中に、上記溶媒から上記色素が上記DSSCの半導体層へ吸収される。] [0015] ある実施形態では、上記溶媒は、アセトニトリル、またはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールのような1〜6個のC原子を有する低級アルコール、またはメトキシプロピオニトリル、またはジメチルホルムアミド、またはこれらの溶媒を含有する混合物、から選択される。ここで、上記色素溶液が0.1mM〜0.5mMの範囲の、好ましくは0.2mM〜0.4mMの範囲の色素濃度を有する場合、上記溶媒は、1〜6個のC原子を有する低級アルコールで、好ましくはエタノールであり、上記色素溶液のpHは、5〜7の範囲に、好ましくは5.9〜6.3の範囲に、最も好ましくは6.1±0.5の範囲に調整されることが好ましい。あるいは、上記色素溶液が0.1mM〜0.5mMの範囲の、好ましくは0.2mM〜0.4mMの範囲の色素濃度を有する場合、上記溶媒はアセトニトリル/t−ブタノールの1/1混合物であり、上記色素溶液のpHは、7〜9の範囲に、好ましくは7.9〜8.2の範囲に、最も好ましくは8±0.5の範囲に調整されることが好ましい。] [0016] ある実施形態では、工程(v)において、上記色素溶液のpHの調整は、塩基または酸を適当量加えることによって行う。ここで、上記塩基はNR4−OHであって、Rは請求項1で限定されたものであり、上記酸はトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、酢酸、または硫酸であることが好ましい。] [0017] ある実施形態では、上記色素は、1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子を有する金属錯体であって、上記配位子は、上記金属に結合した窒素原子Nを少なくとも1つ含有する。ここで、上記金属はルテニウムまたはオスミウムで、好ましくはルテニウムであることが好ましい。] [0018] ある実施形態では、上記色素は、式 (NR4)m[(HA)a(A)b−Nn]MXp を有する化合物であって、 a、b、m、n、pは整数で、0〜20から選択され、ただし、 n+p=6, m+2=b+p であり、 mは0〜12から、好ましくは0〜4から選択され、 NR4はテトラアルキルアンモニウムまたはアンモニウムであり、 RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルであり、 Mは、ルテニウムまたはオスミウムから選択される金属で、好ましくはルテニウムであり、 Xはアニオンであって、 pは0〜4から、好ましくは2または3から選択され、 HAは酸性基であり、 Aは、HAからプロトンを解放した後の上記酸性基HAに対応した塩基性基であって、 ただし、色素分子毎の酸性基HAの総数は1〜12の範囲、好ましくは1〜4の範囲、より好ましくは1〜2の範囲であり、 [(HA)a(A)b−Nn]は、Mに結合したn個の窒素原子を含有した上記1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子であって、nは色素分子毎の窒素原子の総数を表す。] [0019] ある実施形態では、上記色素は、ルテニウムのピリジル錯体で、好ましくはルテニウムのポリピリジル錯体である。] [0020] 上記酸性基HAは、−COOH、−SO3H、および−PO3H2から選択される。] [0021] 上記芳香族ヘテロ環配位子は、モノ環状縮合環系またはポリ環状縮合環系、または互いに共有結合した環のシステムであり、選択的に、上記環系または環は、ハロゲン、またはOH、NH2のような官能基、のような置換基で置換され、および/または基R’がさらに付され、R’はH、アルキル、アルコキシ、NR’’2であり、R’’はHまたはアルキルであることが好ましい。] [0022] 上記芳香族ヘテロ環配位子は、上記HAおよび/またはA基、さらに選択的に請求項13で限定された置換基が付される核を有し、当該核は、以下を含む組から選択されることが好ましい。] [0023] ] [0024] ある実施形態では、上記アニオンXは、生じるたびに、Cl−、Br−、I−、[CN]−、[NCS]−を含む組から独立に選択され、好ましくは金属MにNが結合した[NCS]−である。] [0025] ある実施形態では、上記色素はシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)(「赤色色素」)である。ここで、工程(ii)において、「赤色色素」の量に対して4当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルであることが好ましい。] [0026] 別の実施形態では、上記色素はシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)ビス−テトラブチルアンモニウム(「2TBA赤色色素」)である。ここで、工程(ii)において、「2TBA赤色色素」の量に対して2当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルであることが好ましい。] [0027] さらに別の実施形態では、上記色素はトリス(イソチオシアナト)−ルテニウム(II)−(2,2’:6,2’’−テルピリジン−4,4’,4’’−トリカルボキシラト)トリス−テトラブチルアンモニウム塩(「3TBA黒色色素」)である。ここで、工程(ii)において、「3TBA黒色色素」の量に対して1当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルであることが好ましい。] [0028] また、本発明の課題は、シス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)(「赤色色素」)を合成するワンポット方法であって、 a)二量体の(p−シメン)−ルテニウム(II)塩化物と2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸とを順不同で提供する工程と、 b)上記二量体の(p−シメン)−ルテニウム(II)塩化物および上記2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を単一の反応混合物に反応させる工程と、 c)上記反応混合物にチオシアナト塩を加え、上記反応混合物を反応させて、赤色色素を得る工程と、 を含む方法によって解決される。] [0029] 工程b)およびc)は、>100℃の温度で、好ましくは遮光した不活性雰囲気で行われることが好ましい。] [0030] 工程b)およびc)は、>140℃の温度で、好ましくは遮光した150℃〜180℃の範囲の不活性雰囲気で行われることが好ましい。] [0031] また、本発明の課題は、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された、または請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法によって製造された色素であって、不純物を有しておらず、好ましくはNMRスペクトルにおいて検出可能な不純物を有していない色素によって解決される。] [0032] また、本発明の課題は、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された色素において、分析HPLCが99%よりも高いHPLC純度を示すことを特徴とする色素によって解決される。] [0033] また、本発明の課題は、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された色素において、以下の条件 カラム材料:逆相、好ましくはC18またはC8 溶離液:pH7〜11、好ましくは9〜11の、エタノールまたはメタノール/水、またはアセトニトリル/水のような、アルコールの混合物 を用いると、以下に示すHPLCトレース を有し、好ましくは、 で表されるUV−Visスペクトルも有することを特徴とする色素によって解決される。] [0034] また、本発明の課題は、本発明による方法によって精製された色素の溶液であって、4〜11の範囲の、好ましくは4〜10の範囲のpHを有する溶液によって解決される。ここで、溶媒はエタノールであり、0.3mMの濃度の色素の上記溶液のpHは、5〜7の範囲、好ましくは6.1±0.5であることが好ましい。] [0035] 別の実施形態では、溶媒はアセトニトリル/t−ブタノールであり、0.3mMの濃度の色素の上記溶液のpHは、7〜9の範囲、好ましくは8.05±0.5である。] [0036] また、本発明の課題は、本発明による溶液から溶媒を蒸発させることによって得られる色素によって解決される。ここで、上記蒸発は、凍結乾燥法または回転蒸発法によって行われることが好ましい。] [0037] また、本発明の課題は、本発明による蒸発後に固体として得られる色素によって解決される。] [0038] また、本発明の課題は、本発明による色素を、特に上で概説した蒸発の後に得られる固体色素を用いて製造された色素増感型太陽電池によって解決される。] [0039] また、本発明の課題は、本発明による溶液を直接用いて製造された色素増感型太陽電池によって解決される。] 図面の簡単な説明 [0040] ここで、図面を参照する。] [0041] 図1Aは、一般式(NR4)m[(HA)a(A)bNn]MXpの増感色素の一実施形態を精製する手法の概略説明図を示す。この方法は以下の重要な工程を含む。1)(NR4)‐OHの「a」当量を加えることによる、一般式(NR4)m+a[(A)a+bNn]MXpの可溶型への、与式の色素のin−situ変態。2)固定相として逆相材料を用いた、分取HPLCまたはMPLCによる精製。3)酸性逆滴定および色素沈殿による、固体としての色素単離。4)色素溶液のpH調整。 図1Bは、一般式[(HA)a(A)bNn]で表される、窒素原子を含有する配位子の例を示す。配位子の各構造のみを、その他の官能基を省略して表している。 図2Aは、略称「赤色色素」、「2TBA赤色色素」、「4TBA赤色色素」、「3TBA黒色色素」の正式名称および化学構造を示す。 図2Bは、a)赤色色素またはb)2TBA赤色色素のいずれかを出発材料として用いた増感剤「高品質赤色色素」の製造方法の概略説明図を示す。この方法は以下の重要な工程を含む。1)TBA‐OHのa)4当量またはb)2当量のいずれかを加えることによる、可溶型4TBA赤色色素への、a)赤色色素またはb)2TBA赤色色素のin−situ変態。2)逆相固定相を用いた、分取HPLCまたはMPLCによる精製。3)酸性逆滴定および色素沈殿の後の、固体としての色素単離。4)色素溶液のpH調整。 図2Cは、合成処理および精製処理を含む「高品質赤色色素」の製造を概略的に示す。この方法は以下の重要な工程を含む。1)ワンポット反応による赤色色素の1工程合成。2)TBA‐OHの4当量を加えることによる、可溶型4TBA赤色色素への、赤色色素のin−situ変態。3)固定相としてのRP‐C18またはRP‐C8による、分取HPLCによる精製。4)酸性逆滴定結果および色素沈殿の後の、固体としての色素単離。5)色素溶液のpH調整。 図2Dは、一般式[N(C4H9)4]m[(HOOC)a(OOC)bN3]Ru(NCS)3を用いて増感剤「高品質黒色色素」を製造する方法を概略的に示す。この方法は以下の重要な工程を含む。1)TBA‐OHの1当量を加えることによる、一般式[N(C4H9)4]4[(OOC)bN3]Ru(NCS)3の色素の可溶型への、色素のin−situ変態。2)固定相として逆相材料を用いた、分取HPLCまたはMPLCによる精製。3)酸性逆滴定および色素沈殿による、固体としての色素単離。4)色素溶液のpH調整。 図3Aは、製造元Aおよび製造元Bという2つの異なる製造元から購入した市販の増感剤2TBA赤色色素のHPLCクロマトグラムを示す。 図3Bは、HPLC分析によって定められた、市販の増感剤2TBA赤色色素それぞれの純度を載せた表を示す。また、100mW/cm2の硫黄ランプで測定したDSSCに基づくポリマーゲルのエネルギー変換効率も示している。 図4は、ナズィールッディーンら(参考文献2)が記述した2TBA赤色色素の従来の合成方法を示す。この方法は、増感赤色色素を製造する2つの合成工程と、そのビス‐テトラブチルアンモニウム塩2TBA赤色色素を製造する2つの追加工程とを含む。 図5Aは、本発明の一実施形態に係る、1ポット反応反応による赤色色素の1工程合成を示す。 図5Bは、可溶型4TBA赤色色素の変態を示す。 図5Cは、HPLCによる増感色素の精製中に記録したクロマトグラムを示す。 図5Dは、分取HPLCによる精製前後の増感剤の分析HPLCのクロマトグラムを示す。 図5Eは、酸性逆滴定の工程を示す。 図6Aは、市販の増感剤2TBA赤色色素の分析HPLCクロマトグラムと、本発明の方法によって生成した「高品質赤色色素」とを比較して示す。 図6Bは、市販の増感剤2TBA赤色色素のNMRスペクトルの芳香族領域と、本発明の方法によって生成した「高品質赤色色素」とを比較して示す。 図7Aは、市販の増感剤2TBA赤色色素のNMRスペクトルを示す。 図7Bは、工程4)本発明に記載の方法の色素単離後の「高品質赤色色素」のNMRスペクトルを示す。 図7Cは、ワンポット合成および工程5)pH調整を含む全製造工程後の「高品質赤色色素」のNMRスペクトルを示す。 図7Dは、市販の2TBA赤色色素(試料1)、工程4)後の「高品質赤色色素」、単離した「高品質赤色色素」(工程5後)のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H6‐bipyおよびCH3‐TBAの比を載せた表を示す。また、この表には、異なる溶液中の各色素のpH値も含まれている。 図8Aは、市販の増感剤3TBA黒色色素のNMRスペクトルを示す。 図8Bは、「高品質黒色色素」のNMRスペクトルを示す。 図8Cは、プロトン信号H‐terpyおよびCH3‐TBAと、本発明に記載の方法によって生成した「高品質黒色色素」(試料2)との比の表を示す。また、この表には、アセトニトリル/t‐ブタノール溶液中の各色素のpH値も含まれている。 図9Aは、ワンポット反応反応によるZ907色素の1工程合成を示す。 図9Bは、可溶型2TBA‐Z907色素の変態を示す。 図9Cは、「高品質Z907色素」を単離するための酸性逆滴定およびTBA‐OHでのpH調整の工程を示す。 図10Aは、市販のZ907色素のNMRスペクトルを示す。 図10Bは、「高品質Z907色素」のNMRスペクトルを示す。 図10Cは、市販の増感剤Z907色素のNMRスペクトルの芳香族領域と、本発明の方法によって生成した「高品質Z9078色素」とを比較して示す。 図10Dは、市販のZ907色素(試料1)、および本発明に記載の方法によって生成した「高品質Z907色素」(試料2)のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H6‐bipyおよびCH3‐TBAの比の表を示す。また、この表には、アセトニトリル/t‐ブタノール溶液中の各色素のpH値も含まれている。] 図10A 図10B 図10C 図10D 図1A 図1B 図2A 図2B 図2C 図2D 実施例 [0042] 本発明による色素は「高品質増感色素」であることが好ましい。この用語の意味としては、以下を表すことが好ましい。 本発明の方法によって製造した増感色素 一般式は(NR4)m[(HA)a(A)bNn]MXp を有する化合物であって、 a、b、m、n、pは整数で、 n+p=6 m+2=b+p 全ての指数は正の整数であり、また、以下の意味がある。 (NR4)はアンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムを表し、RはHまたはアルキル基で、好ましくはC4〜C12−アルキルであり、mは0〜12の整数で、好ましくは0〜4の整数である。 Mはルテニウムまたはオスミウムから選択される金属である。 XはCl−、Br−、I−、CN−、SCN−、NCS−を表し、好ましくは金属にNが結合したNCS−であり、pは0〜4から、好ましくは2〜3から選択される。 [(HA)a(A)b−Nn]は、全部でn個の窒素原子Nを含有した1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子を表し、当該窒素原子は金属にそれぞれ結合している。配位子は、モノ環状縮合環系またはポリ環状縮合環系、または互いに共有結合した環のシステムである。各有機へテロ環芳香族配位子には、少なくとも1つの酸性基HA、および/またはその脱プロトン型A−がある。例えば、COOH、SO3H、PO3H2に対しては、それぞれCOO−、SO3−、PO3H−となる。全体として、色素分子毎の酸基HAの数であるaは1〜12で、好ましくは1〜2である。] [0043] 好ましくは、ここで使用する用語「赤色色素」の意味としては、 一般式(N(C4H9)4)m[(HOOC)a(OOC)bN4]Ru(NCS)2 で表される増感色素を示しており、 a、b、mは整数であって、 0〜4の値である。] [0044] 好ましくは、ここで使用する用語「黒色色素」の意味としては、 一般式(N(C4H9)4)m[(HOOC)a(OOC)bN3]Ru(NCS)3 で表される増感色素を示しており、 a、b、mは整数であって、 値m=0〜4を有し、 aおよびbは0〜3の値である。] [0045] 好ましくは、ここで使用する用語「Z907色素」の意味としては、 一般式(N(C4H9)4)m[(HOOC)a(OOC)bN4]Ru(NCS)2 で表される増感色素を示しており、 a、b、mは整数であって、 0〜2の値である。] [0046] ここで使用する用語「可溶型への転換」の意味としては、溶媒への可溶性が低い、非常に低い、または検出不可能な色素分子を、かかる溶媒に対する上記色素分子の可溶型へ転換させる処理を指している。] [0047] ここで使用する用語「水溶型への転換」の意味としては、水への可溶性が非常に低いまたは検出不可能な色素分子を、水に対する上記色素分子の可溶型へ転換させる処理を指している。] [0048] ここで使用する用語「最適pH」の意味としては、与えられた色素溶液に対して定められたpH値であって、色素の物理的性質に影響し、太陽電池における上記色素の性能が最高のものとなるようなpH値を指している。] [0049] ここで使用する用語「DSSCの効率」の意味としては、太陽電池が電気回路に接続されているときに、収集されて電気エネルギーに変換される照射光のパーセンテージである太陽電池のエネルギー変換効率(η)を指している。この用語は、PoutとPinとの比を用いて計算される。Poutは、太陽電池から収集されたエネルギーである。Pinは、「標準」試験条件下における入射光の放射照度(単位W/m2のL)と太陽電池の表面積(単位m2のAc)との積である。] [0050] η=Pout/Pin=FF×(JSC×VOC)/(L×A) ここで、FF=Vmax×Imax/VOC×ISC FF=曲線因子 VOC=開回路電圧 JSC=短電流密度 L=照射強度=100mW/cm2 A=活性領域=0.24cm2 Vmax=最大電力点の電圧 Jmax=最大電力点の電流] [0051] ここで使用する用語「酸沈殿」の意味としては、混合物に酸を加え、この混合物の成分の可溶性を低下させること、および/またはこの混合物の成分を固体に変えることによって沈殿させる処理を指している。] [0052] ここで使用する用語「塩基または酸を適当量加えることによって上記色素溶液のpHを調整する」の意味としては、所望のpHを得るために必要な量の塩基または酸を加える工程を指している。大抵、本発明によれば、所望のpHは4〜10の範囲である。] [0053] ここで使用する用語「上記金属に結合した窒素原子N」およびまたは用語「上記金属に結合したアニオン」の意味としては、金属錯体の中央金属原子と配位子との間にある典型的に連結(linkage)または結合(bond)の種類を指している。] [0054] ここで使用する用語「色素増感型太陽電池(DSSC)の製造中に、溶媒から上記色素が上記DSSCの半導体層へ吸収される」における溶媒の意味としては、色素増感剤がDSSCの半導体層に吸収される工程において、色素増感型太陽電池の製造に一般的に使用される溶媒であれば、いかなる溶媒をも指すものである。大抵、このような工程は、色素増感剤をかかる溶媒に溶かした溶液を用いて行うものであり、このような溶液に半導体層を単に浸すことによって、このような溶液からDSSCの半導体層への吸収が行われる。このような溶媒の典型例としては、メタノールやエタノールなどの低級アルコールが挙げられるが、アセトニトリルや、例えばアセトニトリル/t−ブタノールなどの、好ましくはC1〜C4−アルコールの低級アルコールとアセトニトリルとの混合物も挙げられる。] [0055] 増感色素は、光を吸収可能な分子である。] [0056] 金属錯体に基づく増感色素は、赤色色素または黒色色素またはその誘導体のような、ポリピリジルがベースのルテニウムまたはオスミウムの錯体であり、半導体粒子の表面に結合する酸基(HA)を含有するものであることが好ましい。通常、このような金属錯体は広範囲の溶媒に対して不溶性であるか、または低い不溶性から非常に低い不溶性まで示すかのいずれかであり、精製処理の規模拡大や自動化は不可能である。驚くべきことに、色素分子を可溶型へ転換させ、その精製を効率的なものとし、続いて酸沈殿およびpH調整を行うことによって、高純度かつ高品質の増感色素の製造が信頼性のあるものとなる、ということを当発明者は発見した。] [0057] DSSCの構成要素(増感剤および半導体)のエネルギーレベルはそのpH値に依存するため、DSSCを最高の性能に合わせることにおける重要な工程が、色素溶液のpH調整である。本発明において、この工程は、「pH調整」または「色素溶液のpHを調整する」という。したがって、本発明の方法によって製造した「高品質増感色素」を用いた太陽電池は、市販の増感色素や、従来の方法によって生産した増感色素を用いたものよりも、高い効率を示す。] [0058] 本発明に記載の方法は、信頼性があり、時間においてもコストにおいても効率的である。この方法は、水に対してさえ高い可溶性を示す可溶型4TBA赤色色素に色素を精製することによって、メタノールに対する色素の不溶性を回避するため、精製について規模を拡大し、自動化することが可能である。赤色色素の合成は「ワンポット方法」を用いて行うため、より少ない合成工程を含む(ただ1つ)。また、この方法は、SephadexLH-20などの高価なクロマトグラフィー材料を使用するものではなく、また、精製処理の中で有機溶媒を部分的に水で代用することが可能であるため、環境にもやさしい。NMRおよび分析HPLCが増感色素の品質制御用の優れた道具となることも、当発明者は発見した。これらは、色素を固体として、または溶液中に含有する全試料の分析にも、および太陽電池にすでに含有されている材料の分析にも適用可能である。] [0059] ここで説明する実施形態では、本発明によって製造可能な色素の一般式は(NR4)m[(HA)a(A)bNn]MXpであり、 a、b、m、n、pは整数で、 n+p=6 m+2=b+p 全ての指数は正の整数であり、また、以下の意味がある。 (NR4)はアンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムを表し、RはHまたはアルキル基で、好ましくはC4〜C12−アルキルであり、mは0〜12の整数で、好ましくは0〜4の整数である。 Mはルテニウムまたはオスミウムから選択される金属である。 XはCl−、Br−、I−、CN−、SCN−、NCS−を表し、好ましくは金属にNが結合したNCS−であり、pは0〜4から、好ましくは2〜3から選択される。 [(HA)a(A)b−Nn]は、全部でn個の窒素原子Nを含有した1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子を表し、当該窒素原子は金属にそれぞれ結合している。配位子は、モノ環状縮合環系またはポリ環状縮合環系、または互いに共有結合した環のシステムである。各有機へテロ環芳香族配位子には、少なくとも1つの酸性基HA、および/またはその脱プロトン型A−がある。例えば、COOH、SO3H、PO3H2に対しては、それぞれCOO−、SO3−、PO3H−となる。全体として、色素分子毎の酸基HAの数であるaは1〜12で、好ましくは1〜2である。前述の有機芳香族へテロ環配位子は追加置換基を有する場合があることは、当業者にとって明らかである。] [0060] 一般式1 (NR4)m[(HA)a(A)b−Nn]MXpの分子の例 2TBA赤色色素について R=ブチル(C4−アルキル),m=2 HA=−COOH,a=2 A=−COO−,b=2 n=4 Mはルテニウム X=−NCS,p=2] [0061] 4TBA赤色色素について R=ブチル(C4−アルキル),m=4 HA=−COOH,a=0 A=−COO−,b=4 n=4 Mはルテニウム X=−NCS,p=2] [0062] 赤色色素について R=ブチル(C4−アルキル),m=0 HA=−COOH,a=4 A=−COO−,b=0 n=4 Mはルテニウム X=−NCS,p=2] [0063] 黒色色素について R=ブチル(C4−アルキル),m=3 HA=−COOH,a=2 A=−COO−,b=2 n=3 Mはルテニウム X=−NCS,p=3] [0064] Z907色素について m=0 HA=−COOH,a=2 b=0(−COO−なし) n=4 Mはルテニウム X=−NCS,p=2] [0065] 2TBAZ907色素について R=ブチル(C4−アルキル),m=2 a=0(−COOHなし) A=−COO−,b=2 n=4 Mはルテニウム X=−NCS,p=2] [0066] 驚くべきことに、色素にNR4−OHを適当量加えることによって、メタノール、エタノール、アセトニトリルなどの種々の有機溶媒に対して可溶な、さらに水に対しても可溶な形態へ色素を転換させることが可能であることを、当発明者は発見した。加えるNR4−OHの適当量は、色素分子毎の酸基HAの総数aに依存する。可溶型では、色素を都合よく大規模に精製し、その後酸沈殿によって単離することが可能である。その後、そのように精製した色素を、アルコールまたはアセトニトリルまたはアセトニトリルとアルコールとの混合物などの溶媒に溶かすことが可能であり、この色素溶液のpHを、4〜10の範囲の値に微調整する必要がある。このような最適pHの厳密な値は、実際に用いる溶媒に依存する。増感赤色色素については、色素溶液の色素濃度が0.1mM〜0.5mMで、好ましくは0.2mM〜0.4mMで、最も好ましくは0.3mMである場合、色素のエタノール溶液のかかるpH値は、5〜7の範囲で、好ましくは5.9〜6.3の範囲で、最も好ましくは6.1±0.5の範囲である。また、色素溶液の色素濃度が0.1mM〜0.5mMで、好ましくは0.2mM〜0.4mMで、最も好ましくは0.3mMである場合、色素のアセトニトリル/t−ブタノール溶液のかかるpH値は、7〜9の範囲で、好ましくは7.9〜8.2の範囲で、最も好ましくは8±0.5の範囲である。正確な最適pH値の測定法の1つは、増感色素溶液のpHを変動させて、対応する太陽電池のエネルギー変換効率を測定することである。当発明者は赤色色素について測定したのだが、0.3mMの濃度の色素溶液においては、エタノールでは6.1が最良で、アセトニトリル/t−ブタノール1/1混合物では8.1が最良であった。] [0067] 色素を特徴付ける方法はプロトンNMRである(図7C)。市販の2TBA赤色色素、および「高品質赤色色素」すなわち本発明による方法で製造した増感色素のH6−bipyとCH3−bipy(「bipy」=ビピリジル)とのプロトン信号比を、下表にまとめた。] 図7C [0068] NMRスペクトルは1.0/20〜1.0/36、好ましくは1.0/24〜1.0/28のH6−bipyとCH3−bipyとの信号比を示す。市販の増感剤2TBA赤色色素は、1.0/10〜1.0/18のH6−bipyとCH3−bipyとの信号比を示す。] [0069] また、色素溶液のpH値は、市販の増感剤のほうが低い。「高品質赤色色素」については、0.3mMの色素のエタノール溶液のpH値が5.9〜6.3の範囲であり、0.3mMの色素のアセトニトリル/t−ブタノール(1/1)溶液のpH値が7.9〜8.2の範囲であるが、市販の増感剤2TBA赤色色素については、同じ濃度の0.3mMで、エタノールだと5.3〜5.8、アセトニトリル/t−ブタノール(1/1)だと7.1〜7.8である。] [0070] ここで、以下の例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。以下の例は、本発明の範囲を説明しようとしたものであり、本発明の範囲を限定しようとしたものではない。] [0071] <例1> a)液体電解質とb)ポリマーゲルがベースの電解質とを含有する太陽電池を製造する一般的プロトコル DSSCは以下のように組み立てる。厚さ30nmバルクTiO2遮断層をFTO(ガラスまたはフレキシブル基板に約100nm)に形成する。半導体粒子の厚さ10μm多孔質層を遮断層にスクリーンプリントし、30分間450℃で焼結させる。色素溶液(0.3mM)から自己集合によってナノ細孔粒子へ色素分子を吸収させる。ドロップキャスティングによって、レドックス対としてI−/I3−(15mM)を含有するa)液体電解質とb)ポリマーゲル電解質とで多孔質層を満たす。反射白金逆電極を多孔質層から6μm離して取り付ける。] [0072] 電池の品質は、強度100mWcm−2の硫黄ランプ(IKLCelsius, Light Drive 1000)の光の照射下における電流密度(J)電圧(V)特性によって評価する。特に指定がない場合、結果については、それぞれ活性領域が0.24cm2の3つの電池の平均である。] [0073] <例2> 市販の増感色素に基づくDSSCの効率の測定 市販の2TBA赤色色素増感剤を用いて、例1bのプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定した。以下に与える値は、少なくとも3回の測定の平均値である。] [0074] 種々の供給業者 製造元A:効率=8.60% 製造元B:効率=6.96%] [0075] 同一供給業者の種々のバッチ バッチ1:効率=8.03% バッチ2:効率=7.21% バッチ3:効率=6.71%] [0076] この結果は、市販の2TBA赤色色素増感剤の品質と一致しないため、DSSCの性能が信頼できないということを示した。] [0077] 市販の2TBA赤色色素増感剤の分析HPLC 固体として得られる別々の2つの販売元の2TBA赤色色素増感剤を溶離液に溶かし、HPLCカラムへ直接注入した。カラム材料としてはRP−C18を用い、溶離液としては8mmolTBA−OH/Lのメタノール/水を用いた。検出器はフォトダイオードアレイ(PDA:photo-diode array)とした。クロマトグラムは、市販の色素には不純物や異性体による様々な汚染があることを明らかにした(図3)。HPLCによって測定された純度については、DSSC効率が5.44%(製造元A)、7.06%(製造元B)に対応する、1bに記載のプロトコルにしたがって製造した製造元Aの色素は90.2%、製造元Bは95.8%であった。] [0078] 市販の2TBA赤色色素増感剤、およびDSSCの効率の従来の方法にしたがって生成した2TBA赤色色素の追加精製によって得られる効果 市販の2TBA赤色色素増感剤と、従来の先行技術方法(ナズィールッディーンら、参考文献2参照、図4)にしたがって生成した2TBA赤色色素とを用いて、例1bのプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定した。] 図4 [0079] 適用した精製の方法は、従来の方法、すなわち固定相をSephadex-LH20、溶離液をメタノールとした手動クロマトグラフィーであった。表1に見られるように、DSSCの効率は各精製工程後に増加した。しかしながら、前述のように、この方法による精製は時間がかかり、費用も高い。] [0080] ] [0081] 「高品質赤色色素」増感剤の製造 反応は、不活性雰囲気下で遮光して行った。1(0.816mmol)をDMF(250mL)に溶かし、2(3.26mmol)を加えた(図5A)。この混合物を、8時間160℃で一定に攪拌しながら還流した。高過剰(80フォールド)のNH4NCS(65.2mmol)を反応混合物に加え、還流をさらに8時間続けた。] 図5A [0082] 混合物を常温まで冷却し、真空下で回転蒸発器を用いて溶媒を取り除いた。得られる粘性液体の0.2MのNaOH水溶液(10mL)を加えて、暗赤紫色溶液を得た。この溶液を濾過し、0.5MのHNO3(〜10mL)の酸溶液でpHを1.7まで下げて、赤色の沈殿物を得た。フラスコを一晩冷蔵庫に置いておいた。フラスコを常温まで暖めた後、濾過によって焼結ガラスるつぼに赤色固体を収集した。固体は、HNO3(3×20mL)でpH1.7まで酸性化した水で洗浄し、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄した。粗生成物を0.2MのNaOH水溶液(10mL)に再び溶かし、溶離液として水を用いてSephadexLH-20の小パッドで濾過した。溶媒は、体積が10mLまで小さくなるように取り除いた。0.5MのHNO3を加えた後の沈殿によって生成物「赤色色素」を得て、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄し、乾燥させた(1.33mmol、収率82%)。] [0083] 「赤色色素」をその可溶型4TBA赤色色素へ転換させるため、その120mg(0.162mmol)を2mLの水で薄め、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBA−OH)の4計算当量(0.647mmol)を攪拌しながら加えた(図5B)。] 図5B [0084] HPLCカラムへ2mLを直接注入し、分取HPLCによって色素を4TBA赤色色素の形態に精製した。カラムは、固定相をRP−C18材料からなるものとした。溶離液として、メタノールまたはエタノール(溶媒A)とpH11の水(TBA−OHを8mmol/1L水で加えてアルカリ化)(溶媒B)との混合物を用いた。フォトダイオードアレイ(PDA)を検出器として用いた(図5C)。あるいは、伝導性または屈折率の測定を検出に用いることも可能である。流量は10mL/分であり、制御勾配プログラムを使用した。勾配プログラムは以下とした。A/B=30/70−5分‐A/B=30/70−40分‐A/B=70/30−15分‐A/B=70/30。分析HPLCによって留分の純度を分析した後(図5D)、色素をその4TBA型から2TBA赤色色素へ変態させる。そのため、純粋な留分を組み合わせて、溶媒の体積を5mLまで減らした。0.1Mのトリフルオロメタンスルホン酸水溶液を、4.3〜4.4のpH値が得られるまで、攪拌しながら非常にゆっくり加えた(図5E)。混合物を4℃の冷蔵庫に12時間置いておいた。濾過によって沈殿生成物を単離し、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄し、乾燥させた。] 図5C 図5D 図5E [0085] NMRおよびHPLC分析が示すように、単離した増感色素は分析上では純粋なものであるが、最高のDSSC効率を得るためには、いわゆる「pH調整」工程を行わなければならない。色素溶液のpHは増感色素の物理的性質に直接影響する重要な要因であり、そのため太陽電池におけるその性能にも直接影響する重要な要因である。したがって、色素の0.3mMのエタノール溶液またはアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)溶液を製造し、溶液のpH値を測定した。0.1mMのTBA−OHメタノール溶液または0.02mMのトリフルオロメタンスルホン酸水溶液を非常にゆっくり加えることによって、pH6.0〜6.1(エタノール溶液)、pH8.0〜8.1(アセトニトリル/t−ブタノール1:1溶液)まで、攪拌しながらpHを調整した。一般に、定めた溶媒濃度の最適pH値については、0.3mMのエタノール色素溶液はpH6.1±0.5、また0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール1:1色素溶液はpH8.05±0.5のように前もって決めておかなければならない。] [0086] <例4> 本発明の方法によって生成した「高品質赤色色素」増感剤を含有するDSSCの効率の測定 例3の「高品質赤色色素」増感剤を用いて例1bのプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定し、市販の2TBA赤色色素増感剤で製造したDSSCの効率と比較した。] [0087] 光起電装置の効率は以下のように算出された。 η=Pout/Pin=FF×(JSC×VOC)/(L×A) ここで、FF=Vmax×Imax/VOC×ISC FF=曲線因子(fill factor) VOC=開回路電圧 JSC=短電流密度 L=照射強度=100mW/cm2 A=活性領域=0.24cm2 Vmax=最大電力点の電圧 Jmax=最大電力点の電流] [0088] 表2に見られるように、本発明の方法によって製造した増感剤を含有するDSSCの効率はかなり高い。追加精製工程は必要ない。] [0089] 以下のIV特性を有する。] [0090] 以下のIV特性を有する。] [0091] 例3の「高品質赤色色素」増感剤を用いて例1a(液体電解質)のプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定し、市販の増感剤2TBA赤色色素で製造したDSSCの効率と比較した。] [0092] 以下のIV特性を有する。] [0093] 本発明による色素を用いたDSSCの効率は、市販の色素を用いたDSSCよりも28%高いということがわかる。] [0094] <例5> 本発明の方法によって生成した増感剤「高品質赤色色素」のHPLCおよびNMR分析 本発明の方法によって生成した「高品質赤色色素」の純度は、分析HPLCおよびNMRによって確認した。対応する市販の2TBA赤色色素の分析データを比較して示した(図6〜7)。] [0095] 図6Aは、本発明の方法によって生成した「高品質赤色色素」の分析HPLCクロマトグラムと市販の2TBA赤色色素の分析HPLCクロマトグラムとを比較して示している。〜7.2分のピークが両クロマトグラムにおいて赤色色素増感剤に対応している。市販の2TBA赤色色素のクロマトグラムでは、市販の試料が一般に含有する不純物/異性体に対応したRf=6.32分の追加ピークが観察される。] 図6A [0096] 図6Bは、ビピリジン単位に対応した信号を含有するNMRスペクトルの芳香族領域を示している。約9.68ppmおよび約9.31ppmにおける信号は、市販の2TBA赤色色素試料が含有する不純物/異性体に起因したものであり、本発明によって製造した増感剤「高品質赤色色素」にはこれらの信号がない。これにより、市販の色素と比較して、本発明によって製造した増感剤(「高品質赤色色素」)の優れた純度が確認される。] 図6B [0097] 図7Aは、市販の増感剤2TBA赤色色素のNMRスペクトルを示している。図7Bは、本発明に記載の方法の工程4)色素単離後の「高品質赤色色素」のNMRスペクトルを示しており、図7Cは、ワンポット合成と工程5)pH調整とを含む全製造工程後の「高品質赤色色素」のNMRスペクトルを示している。図7Dには、市販の増感剤2TBA赤色色素、工程4)後の「高品質赤色色素」、単離した「高品質赤色色素」(工程5の後)のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H6−bipyおよびCH3−TBAの比を載せた表を示している。また、表には、種々の溶媒中のそれぞれの増感剤のpH値も含まれている。「高品質赤色色素」のNMRスペクトルと、対応する色素溶液のpH値とには特徴があり、本発明に記載の方法によって生成した増感剤の品質のフィンガープリントと考えられる。「高品質赤色色素」増感剤のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H6−bipyおよびCH3−TBAの比は1.0/27.5であり、市販の増感剤2TBA赤色色素の比は1.0/10.3である。0.3mMのエタノール色素溶液のpH値は、「高品質赤色色素」増感剤であれば6.1であり、市販の増感剤2TBA赤色色素であれば5.3である。0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1/1)色素溶液のpH値は、「高品質赤色色素」増感剤であれば8.1であり、市販の増感剤2TBA赤色色素であれば7.1である。] 図7A 図7B 図7C 図7D [0098] <例6> 「高品質黒色色素」増感剤の製造 製造における出発材料である「3TBA黒色色素」は、市販の試料(赤色色素の会社:Solaronix、Dyesol)とすることもできるし、M. K. Nazeeruddin et al.,J. AM. Chem. Soc. 2001,123,1613-1624という文献に記載の方法で製造することもできる。] [0099] 「3TBA黒色色素」をその可溶型4TBA黒色色素へ転換させるため、その100mg(0.162mmol)を2mLの水で薄め、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBA−OH)の1計算当量(0.162mmol)を攪拌しながら加えた。] [0100] 分取HPLC器具へ2mLを直接注入し、色素を4TBA黒色色素の形態に精製した。HPLCカラムは、固定相をRP−C18材料からなるものとした。溶離液として、メタノールまたはエタノール(溶媒A)とpH11の水(TBA−OHを8mmol/1L水で加えてアルカリ化)(溶媒B)との混合物を用いた。フォトダイオードアレイ(PDA)を検出器として用いた。あるいは、伝導性または屈折率の測定を検出に用いることも可能である。流量は10mL/分であり、制御勾配プログラムを使用した。勾配プログラムは以下とした。A/B=30/70−5分‐A/B=30/70−40分‐A/B=70/30−15分‐A/B=70/30。純粋な色素を含有する留分を収集し、溶媒を蒸発させて、溶媒の体積を約3mLまで減らした。0.1Mの硝酸水溶液をゆっくり加えることによって、色素をその4TBA型から3TBA黒色色素へ変態させた。濾過によって沈殿生成物を単離し、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄し、乾燥させた(91mg、0.146mmol)。] [0101] NMRおよびHPLC分析が示すように、単離した増感色素は分析上では純粋なものであるが、最高のDSSC効率を得るためには、いわゆる「pH調整」工程を行わなければならない。色素溶液のpHは増感色素の物理的性質に直接影響する重要な要因であり、そのため太陽電池におけるその性能にも直接影響する重要な要因である。したがって、色素の0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)溶液を製造し、溶液のpH値を測定した。0.1mMのTBA−OHメタノール溶液を非常にゆっくり加えることによって、pH9.3〜10.2(アセトニトリル/t−ブタノール1:1溶液)まで、攪拌しながらpHを調整した。一般に、定めた溶媒濃度の最適pH値については、0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)高品質黒色色素溶液はpH9.6±0.2というように、前もって決めておかなければならない。pH調整の後は、溶媒を取り除いて生成物を固体として単離することもできるし、以上のように製造した色素溶液をナノ多孔質半導体層のコーティングに直接用いることもできる。] [0102] <例7> 本発明の方法によって生成した「高品質黒色色素」増感剤を含有するDSSCの効率の測定 例6の「高品質黒色色素」増感剤を用いて例1bのプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定し、市販の3TBA黒色色素増感剤(また市販の名称はRu620−1H3TBAまたはRu620またはN749)で製造したDSSCの効率と比較した。] [0103] 光起電装置の効率は以下のように算出された。 η=Pout/Pin=FF×(JSC×VOC)/(L×A) ここで、FF=Vmax×Imax/VOC×ISC FF=曲線因子 VOC=開回路電圧 JSC=短電流密度 L=照射強度=100mW/cm2 A=活性領域=0.24cm2 Vmax=最大電力点の電圧 Jmax=最大電力点の電流] [0104] IPCE曲線は、それぞれの電子を半導体伝導帯へ注入する色素の能力を表すことによって増感色素の光活性を示す「入射光子電流効率」である。] [0105] 表5に見られるように、本発明の方法によって製造した増感剤を含有するDSSCの効率はかなり高い。0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)から、色素でのTiO2のコーティングを行った。] [0106] 以下のIV特性を有する。] [0107] <例8> 本発明の方法によって生成した増感剤「高品質黒色色素」のNMR分析 本発明の方法によって生成した「高品質黒色色素」の純度はNMRによって確認した。対応する市販の3TBA黒色色素のNMRスペクトルを比較して示した(図8)。] [0108] 図8Aは、市販の増感剤3TBA黒色色素のNMRスペクトルを示している。図8Bは、「高品質黒色色素」のNMRスペクトルを示している。図8Cには、市販の増感剤3TBA黒色色素および「高品質赤色色素」のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H−terpyおよびCH3−TBAの比を載せた表を示している。また、表には、それぞれの増感剤のpH値も含まれている。] 図8A 図8B 図8C [0109] 「高品質黒色色素」のNMRスペクトルと、対応する色素溶液のpH値とには特徴があり、本発明に記載の方法によって生成した増感剤の品質のフィンガープリントと考えられる。「高品質黒色色素」増感剤のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H−terpyおよびCH3−TBAの比は1.0/23.8であり、市販の増感剤3TBA黒色色素の比は1.0/15.7である。0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1/1)色素溶液のpH値は、「高品質黒色色素」増感剤であれば9.6であり、市販の増感剤3TBA黒色色素であれば9.1である。] [0110] <例9> 「高品質Z907色素」増感剤の製造 [RuCl2(p−シメン)]2をDMFに溶かし、4,4’ジノニル2,2’ビピリジンを加えた。窒素下で4時間一定に攪拌しながら、反応混合物を70〜80℃まで加熱した。この反応フラスコに、4,4’−カルボキシ−2,2’−ビピリジンを加え、その混合物を170〜180℃で4時間還流した。最後に、過剰のNH4NCSを反応混合物に加え、180℃でさらに12時間還流を続けた。] [0111] 反応混合物を常温まで冷却し、(グミ環のないシステムを用いて)溶液を濾過した。真空下で回転蒸発器を用いて溶媒を取り除いた。過剰のNH4SCNを取り除くために、フラスコに水を加えた。濾過によって焼結ガラスるつぼに不溶性個体を収集した。その固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。] [0112] 固体を洗浄し、NaOH水溶液を加えることによって再び溶かし、0.1mMのHNO3水溶液をゆっくり加えることによって再び沈殿させる。固体は、濾過または遠心分離によって単離する。] [0113] 反応は、不活性雰囲気(窒素)下で遮光して行った。1(0.4mmol)をDMF(250mL)に溶かし、2(0.8mmol)を加えた(図9A)。この混合物を、8時間70〜80℃で攪拌した。3(0.8mmol)を加えた後、混合物を170〜180℃で4時間還流した。高過剰(20フォールド)のNH4NCS(16mmol)を反応混合物に加え、還流をさらに8時間続けた。] 図9A [0114] 混合物を常温まで冷却し、真空下で回転蒸発器を用いて溶媒を取り除いた。得られる粘性液体の0.2MのNaOH水溶液(10mL)を加えて、暗赤紫色溶液を得た。この溶液を濾過し、0.5MのHNO3(〜5mL)を加えることによってpHを下げて、赤色の沈殿物を得た。フラスコを一晩冷蔵庫に置いておいた。フラスコを常温まで暖めた後、濾過によって焼結ガラスるつぼに赤色固体を収集した。固体は、酸性化しながら洗浄し、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄した。粗生成物を0.2MのNaOH水溶液(10mL)に再び溶かし、溶離液として水を用いてSephadexLH-20の小パッドで濾過した。溶媒は、体積が10mLまで小さくなるまで減らした。0.5MのHNO3を加えた後の沈殿によって生成物「Z907色素」を得て、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄し、乾燥させた(0.62mmol、収率77%)。] [0115] 「Z907色素」をその可溶型2TBA−Z907色素へ転換させるため、その100mg(0.114mmol)を2mLの水で薄め、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBA−OH)の4計算当量(0.228mmol)を攪拌しながら加えた(図9B)。] 図9B [0116] HPLC器具へ2mLを直接注入し、分取HPLCによって色素を2TBA−Z907色素の形態に精製した。カラムは、固定相をRP−C18材料からなるものとした。溶離液として、メタノールまたはエタノール(溶媒A)とpH11の水(TBA−OHを8mmol/1L水で加えてアルカリ化)(溶媒B)との混合物を用いた。フォトダイオードアレイ(PDA)を検出器として用いた。あるいは、伝導性または屈折率の測定を検出に用いることも可能である。流量は10mL/分であり、制御勾配プログラムを使用した。勾配プログラムは以下とした。A/B=60/40−5分‐A/B=60/40−40分‐A/B=90/10−15分‐A/B=90/10。純粋な色素を含有する留分を収集し、溶媒を蒸発させて、溶媒の体積を約3mLまで減らした。0.1Mの硝酸水溶液をゆっくり加えることによって、色素をその2TBA型からZ907色素へ変態させた(図9C)。濾過によって沈殿生成物を単離し、ジエチルエーテル/石油エーテル1:1混合物で洗浄し、乾燥させた(89mg、0.101mmol)。NMRおよびHPLC分析が示すように、単離した増感色素は分析上では純粋なものであるが、最高のDSSC効率を得るためには、いわゆる「pH調整」工程を行わなければならない。色素溶液のpHは増感色素の物理的性質に直接影響する重要な要因であり、そのため太陽電池におけるその性能にも直接影響する重要な要因である。したがって、色素の0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)溶液を製造し、溶液のpH値を測定した。0.1mMのTBA−OHメタノール溶液を非常にゆっくり加えることによって、pH6〜7(アセトニトリル/t−ブタノール1:1溶液)まで、攪拌しながらpHを調整した。一般に、定めた溶媒濃度の最適pH値については、0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)高品質Z907色素溶液はpH7.6±0.2というように、前もって決めておかなければならない。pH調整の後は、溶媒を取り除いて生成物を固体として単離することもできるし、以上のように製造した色素溶液をナノ多孔質半導体層のコーティングに直接用いることもできる。] 図9C [0117] <例10> 本発明の方法によって生成した増感剤「高品質Z907色素」のNMR分析 本発明の方法によって生成した「高品質Z907色素」の純度はNMRによって確認した。対応する市販のZ907色素のNMRスペクトルを比較して示した(図10)。] [0118] 図10Aは、市販の増感剤Z907色素のNMRスペクトルを示している。図8Bは、「高品質Z907色素」のNMRスペクトルを示している。] 図10A 図8B [0119] 図10Cは、ビピリジン単位に対応した信号を含有するNMRスペクトルの芳香族領域を示している。約9.35、9.83、または7.0ppmにおける小さな信号は、市販のZ907色素試料が含有する不純物/異性体に起因したものであり、本発明によって製造した増感剤「高品質Z907色素」にはこれらの信号がない。これにより、市販の色素と比較して、本発明によって製造した増感剤(「高品質Z07色素」)の優れた純度が確認される。] 図10C [0120] 図10Dには、市販の増感剤Z907色素、および単離した「高品質Z907色素」のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H−bipyおよびCH3−TBAの比を載せた表を示している。また、表には、種々の溶媒中のそれぞれの増感剤のpH値も含まれている。] 図10D [0121] 「高品質Z907色素」のNMRスペクトルと、対応する色素溶液のpH値とには特徴があり、本発明に記載の方法によって生成した増感剤の品質のフィンガープリントと考えられる。「高品質Z907色素」増感剤のNMRスペクトルにおけるプロトン信号H−bipyおよびCH3−TBAの比は1.0/17.5であり、市販の増感剤Z907色素の比はTBAを全く含有していない。0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1/1)色素溶液のpH値は、「高品質Z907色素」増感剤であれば7.6であり、市販のZ907色素であれば6.6である。] [0122] 本発明の方法によって生成した「高品質黒色色素」増感剤を含有するDSSCの効率の測定 例9の「高品質Z907色素」増感剤を用いて例1bのプロトコルにしたがって組み立てたDSSCの効率を測定し、市販のZ907色素増感剤(また市販の名称はRu520−DN)で製造したDSSCの効率と比較した。] [0123] 光起電装置の効率は以下のように算出された。 η=Pout/Pin=FF×(JSC×VOC)/(L×A) ここで、FF=Vmax×Imax/VOC×ISC FF=曲線因子 VOC=開回路電圧 JSC=短電流密度 L=照射強度=100mW/cm2 A=活性領域=0.24cm2 Vmax=最大電力点の電圧 Jmax=最大電力点の電流] [0124] IPCE曲線は、それぞれの電子を半導体伝導帯へ注入する色素の能力を表すことによって増感色素の光活性を示す「入射光子電流効率」である。] [0125] 表6に見られるように、本発明の方法によって製造した増感剤を含有するDSSCの効率はかなり高い。0.3mMのアセトニトリル/t−ブタノール(1:1)から、色素でのTiO2のコーティングを行った。] [0126] 以下のIV特性を有する。] [0127] 明細書、特許請求の範囲、および/または添付図面において開示した本発明の特徴は、本発明を様々な形態で実現するための材料として、別々のものとすることも可能であり、また如何様に組み合わせることも可能である。]
权利要求:
請求項1 色素増感型太陽電池(DSSC)用の色素を精製する方法であって、(i)色素増感型太陽電池における増感剤として有用な色素を提供する工程と、(ii)NR4−OHを加えることによって、前記色素を前記色素の可溶型に、好ましくは前記色素の水溶型に転換させる工程であって、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12−アルキルであり、より好ましくはブチルである工程と(iii)逆相クロマトグラフィーによって、好ましくはHPLCを用いて、前記色素の可溶型を精製する工程と、(iv)酸沈殿によって前記色素を単離する工程と、(v)工程(iv)から得られる前記色素を溶媒に溶かして色素溶液を提供し、前記色素溶液のpHを4〜10の範囲内の値に調整する工程とを含む方法。 請求項2 前記色素は、プロトンを解放することが可能な、または脱プロトン型A−においてはプロトンを受け入れることが可能な酸性基HAを分子毎に「a」個有し、工程(ii)において「a」と等モル量のNR4−OHを加えて、前記色素を可溶型に、好ましくは水溶型に転換させる、請求項1に記載の方法。 請求項3 色素増感型太陽電池(DSSC)の製造中に、前記溶媒から前記色素が前記DSSCの半導体層へ吸収される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。 請求項4 前記溶媒は、アセトニトリル、またはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールのような1〜6個のC原子を有する低級アルコール、またはメトキシプロピオニトリル、またはジメチルホルムアミド、またはこれらの溶媒を含有する混合物、から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 請求項5 前記色素溶液が0.1mM〜0.5mMの範囲の、好ましくは0.2mM〜0.4mMの範囲の色素濃度を有する場合、前記溶媒は、1〜6個のC原子を有する低級アルコールで、好ましくはエタノールであり、前記色素溶液のpHは、5〜7の範囲に、好ましくは5.9〜6.3の範囲に、最も好ましくは6.1±0.5の範囲に調整されるか、または、前記色素溶液が0.1mM〜0.5mMの範囲の、好ましくは0.2mM〜0.4mMの範囲の色素濃度を有する場合、前記溶媒はアセトニトリル/t−ブタノールの1/1混合物であり、前記色素溶液のpHは、7〜9の範囲に、好ましくは7.9〜8.2の範囲に、最も好ましくは8±0.5の範囲に調整される、請求項4に記載の方法。 請求項6 工程(v)において、前記色素溶液のpHの調整は、塩基または酸を適当量加えることによって行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 請求項7 前記塩基はNR4−OHであって、Rは請求項1で限定されたものであり、前記酸はトリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硝酸、酢酸、または硫酸である、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記色素は、1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子を有する金属錯体であって、前記配位子は、前記金属に結合した窒素原子Nを少なくとも1つ含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 請求項9 前記金属はルテニウムまたはオスミウムで、好ましくはルテニウムである、請求項8に記載の方法。 請求項10 前記色素は、式(NR4)m[(HA)a(A)b−Nn]MXpを有する化合物であって、a、b、m、n、pは整数で、0〜20から選択され、ただし、n+p=6,m+2=b+pであり、mは0〜12から、好ましくは0〜4から選択され、NR4はテトラアルキルアンモニウムまたはアンモニウムであり、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルであり、Mは、ルテニウムまたはオスミウムから選択される金属で、好ましくはルテニウムであり、Xはアニオンであって、pは0〜4から、好ましくは2または3から選択され、HAは酸性基であり、Aは、HAからプロトンを解放した後の前記酸性基HAに対応した塩基性基であって、ただし、色素分子毎の酸性基HAの総数は1〜12の範囲、好ましくは1〜4の範囲、より好ましくは1〜2の範囲であり、[(HA)a(A)b−Nn]は、Mに結合したn個の窒素原子を含有した前記1または2以上の芳香族ヘテロ環配位子であって、nは色素分子毎の窒素原子の総数を表す、請求項8〜9のいずれか1項に記載の方法。 請求項11 前記色素は、ルテニウムのピリジル錯体で、好ましくはルテニウムのポリピリジル錯体である、請求項9〜10のいずれか1項に記載の方法。 請求項12 前記酸性基HAは、−COOH、−SO3H、および−PO3H2から選択される、請求項10〜11のいずれか1項に記載の方法。 請求項13 前記芳香族ヘテロ環配位子は、モノ環状縮合環系またはポリ環状縮合環系、または互いに共有結合した環のシステムであり、選択的に、前記環系または環は、ハロゲン、またはOH、NH2のような官能基、のような置換基で置換され、および/または基R’がさらに付され、R’はH、アルキル、アルコキシ、NR’’2であり、R’’はHまたはアルキルである、請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。 請求項14 前記芳香族ヘテロ環配位子は、前記HAおよび/またはA基、さらに選択的に請求項13で限定された置換基が付される核を有し、当該核は、 を含む組から選択される、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。 請求項15 前記アニオンXは、生じるたびに、Cl−、Br−、I−、[CN]−、[NCS]−を含む組から独立に選択され、好ましくは前記金属MにNが結合した[NCS]−である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。 請求項16 前記色素はシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)(「赤色色素」)である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。 請求項17 工程(ii)において、「赤色色素」の量に対して4当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルである、請求項16に記載の方法。 請求項18 前記色素はシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)ビス−テトラブチルアンモニウム(「2TBA赤色色素」)である、請求項1〜15に記載の方法。 請求項19 工程(ii)において、「2TBA赤色色素」の量に対して2当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルである、請求項18に記載の方法。 請求項20 前記色素はトリス(イソチオシアナト)−ルテニウム(II)−(2,2’:6,2’’−テルピリジン−4,4’,4’’−トリカルボキシラト)トリス−テトラブチルアンモニウム塩(「3TBA黒色色素」)である、請求項1〜15に記載の方法。 請求項21 工程(ii)において、「3TBA黒色色素」の量に対して1当量のNR4−OHを加え、RはHまたはアルキルで、好ましくはC4〜C12アルキルである、請求項20に記載の方法。 請求項22 シス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラト)−ルテニウム(II)(「赤色色素」)を合成するワンポット方法であって、a)二量体の(p−シメン)−ルテニウム(II)塩化物と2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸とを順不同で提供する工程と、b)前記二量体の(p−シメン)−ルテニウム(II)塩化物および前記2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を単一の反応混合物に反応させる工程と、c)前記反応混合物にチオシアナト塩を加え、前記反応混合物を反応させて、赤色色素を得る工程と、を含む方法。 請求項23 工程b)およびc)は、>100℃の温度で、好ましくは遮光した不活性雰囲気で行われる、請求項22に記載の方法。 請求項24 工程b)およびc)は、>140℃の温度で、好ましくは遮光した150℃〜180℃の範囲の不活性雰囲気で行われる、請求項22に記載の方法。 請求項25 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された、または請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法によって製造された色素であって、不純物を有しておらず、好ましくはNMRスペクトルにおいて検出可能な不純物を有していない色素。 請求項26 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された色素において、分析HPLCが99%よりも高いHPLC純度を示すことを特徴とする色素。 請求項27 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された色素において、以下の条件カラム材料:逆相、好ましくはC18またはC8溶離液:pH7〜11、好ましくは9〜11の、エタノールまたはメタノール/水、またはアセトニトリル/水のような、アルコールの混合物を用いると、以下に示すHPLCトレースで表されるUV−Visスペクトルも有することを特徴とする色素。 請求項28 請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法によって精製された色素の溶液であって、4〜11の範囲の、好ましくは4〜10の範囲のpHを有する溶液。 請求項29 溶媒はエタノールであり、0.3mMの濃度の色素の前記溶液のpHは、5〜7の範囲、好ましくは6.1±0.5である、請求項28に記載の溶液。 請求項30 溶媒はアセトニトリル/t−ブタノールであり、0.3mMの濃度の色素の前記溶液のpHは、7〜9の範囲、好ましくは8.05±0.5である、請求項28に記載の溶液。 請求項31 請求項28〜30のいずれか1項に記載の溶液から溶媒を蒸発させることによって得られる色素。 請求項32 前記蒸発は、凍結乾燥法または回転蒸発法によって行われる、請求項31に記載の色素。 請求項33 蒸発後に固体として得られる、請求項31〜32のいずれか1項に記載の色素。 請求項34 請求項33に記載の色素を用いて製造された色素増感型太陽電池。 請求項35 請求項28〜30のいずれか1項に記載の溶液を直接用いて製造された色素増感型太陽電池。
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同族专利:
公开号 | 公开日 WO2009062615A1|2009-05-22| CN101855739B|2012-09-05| CN101855739A|2010-10-06| US20100275391A1|2010-11-04|
引用文献:
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